兵庫県が、加西市において区域区分を廃止する方針を決定しました。廃止の事例は、全国でも20例程度しかなく、県内では初めてです。今後、令和8年4月の廃止に向け手続きを進めていきます。
【区域区分制度のこれまで】
区域区分とは、道路・公園・下水道などの基盤整備についての公共投資を効率的に行いつつ、良質な市街地の形成を図る目的で、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに区分するもので、「線引き」ともいいます。
兵庫県では、昭和45年から46年にかけて神戸、阪神間、東播、中播および西播の都市計画区域において、市街化区域と市街化調整区域との区分(区域区分)を定め、整備、開発および保全を行ってきました。
加西市では、市街化調整区域の厳しい建築規制により実現が難しかった課題に対して、これまで地域の皆さまと市役所が一緒に土地利用の在り方を考えてきました。規制緩和手法を活用しながら一つ一つ取り組みを進めてきたことが認められ、今回の区域区分廃止の方針決定に至りました。
■市街化調整区域の現状と課題
《加西市の都市計画別の状況》
○人口
市街化区域:29.2% (12,458人)
市街化調整区域:63.1% (26,936人)
都市計画区域外:7.7%(3,306人)
[出典]令和2年度国勢調査より
○面積
市街化区域:3.9%(583ha)
市街化調整区域:74.6% (11,216ha)
都市計画区域外:21.5%(3,223ha)
令和6年12月現在の都市計画状況
〈調整区域の割合が県内で一番大きい〉
1.厳しい建築規制
市人口の約6割が市街化調整区域に居住しています。
厳しい建築規制が、多くの地域でまちづくりの課題解決を困難にしています。
〈30年前から調整区域の人口減少率28%〉
2.人口の減少
昭和46年に人口増加に伴う無秩序な市街地の拡大を防止するために決定されたもので、今の人口減少期に適切な都市計画とは言えません。
〈空き家の数は10軒に1軒の割合〉
3.空き家の増加建築規制により空き家の増改築や用途変更なども簡単ではなく、利活用が思うように進まない状況にあります。
《図で解説 区域区分制度》
【都市計画区域…都市計画法が適用される区域】
◇非線引き都市計画区域…市街化区域と市街化調整区域の区分を定めない都市計画区域
◇線引き都市計画区域…市街化区域と市街化調整区域の区分を定めた都市計画区域
・市街化調整区域…市街化を抑制すべき区域
・市街化区域
(1)既に市街地を形成している区域
(2)概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
◇都市計画区域外…都市計画法が適用されない区域