文字サイズ

地域の魅力再発見 加西のお祭り ヨーイヤサー(6)

43/45

兵庫県加西市

■日吉神社 御田植祭(おたうえさい)・サノボリ
いよいよ、田植えのシーズンとなりました。先月号でご紹介した「天道花(てんどうばな)」により、山から下りて来た「田の神」も本格稼働です。今月は、田植えにちなんだ祭礼と年中行事をご紹介します。

【御田植祭】早乙女(さおとめ)姿で豊作願う
日吉神社(池上町)では、五穀豊穣(ごこくほうじょう)や子孫繁栄を願う祭礼の一つとして6月に御田植祭が行われます。御神田(ごしんでん)の前に祭壇を設置し神事を執(と)り行います。その後、早乙女姿やはっぴ姿の子どもたちが水田に入り、太鼓の音に合わせて植えていきます。
植えるのは古代米の早苗で、10月末の「抜穂祭(ぬきほさい)」で収穫し、12月の「新嘗祭(にいなめさい)」でお餅にして神前に供えられます。供えられたお餅は、祭礼の参列者や子どもたちにも配られます。

【サノボリ・アマヤスミ・ドロヤスミ】田の神が山へ還(かえ)る日
現在の田植えというと、乗用の田植え機が颯爽(さっそう)と植え込んでいく姿を思い浮かべますが、かつては泥田(どろた)の中で腰を曲げ手で植える、労力も時間もかかる大変な作業でした。
そのため田植えが終わると「サノボリ」「サナブリ」「アマヤスミ」「ドロヤスミ」などといって、村全体で休日を設け、団子やチマキでお祝いをしていました。
さて、先月号で登場した「天道花」で山から里に迎え入れた田の神ですが、民俗学では「サ」が稲の神を表しているとされています。この記事で登場した「早乙女」「早苗(さなえ)」や、「皐月(さつき)」の「サ」も「稲」に置き換えると、言葉の意味が良く分かります。早乙女は「苗を植える女性」、早苗は「稲の苗」、皐月は「稲の耕作を始める月」となります。
「サノボリ」のお祝いとは、田植えが無事終了することを見守っていた田の神を山へ還す「稲神(サ)が山上へ戻る(ノボル)」祭礼であり、団子やチマキはそのお供え物でもあったのです。
サノボリは農家にとってめでたい休日であり、北条町の商店街ではこの日に合わせて、サノボリを見込んで大売り出しをやっていたそうです。現在の夏季大売り出しより1カ月ほど早いバーゲンセールで、北条の町は賑わっていたようです。

[御田植祭に参加できます]
参加ご希望の方は、6月15日までに日吉神社へお申し込みください。
今年は6月22日(土)10時~
問合せ:日吉神社
【電話】45-1616

       

広報プラス -広報かさい-

MENU