■祇園(ぎおん)祭・茅(ち)の輪くぐり(夏越(なごし)の祓(はらい)) 石部(いそべ)神社の川下(かわすそ)祭
かつて7月は、暑気による抵抗力の低下と物や水の腐敗により、疫病が流行しやすい時期でした。
現在は、細菌やウイルスなどにその原因を求めることができますが、かつては悪霊や祟(たた)りなど、目に見えない怪(モノ)が原因とされていました。今月の特集では、夏にちなんだ伝統的な祭りや年中行事として、「祇園祭」、「茅の輪くぐり」、「川下祭」をご紹介します。
【祇園祭】
祇園祭は、牛頭(ごず)天王(スサノオノミコト)を祀まつり、無病息災を祈ります。祇園祭と言えば、京都の夏の風物詩で、日本三大祭りの一つ八坂神社の祇園祭が有名です。平安時代の中頃、都の平安京をはじめ全国各地で疫病が流行ったため、貞観(じょうがん)十一年(八六九)に災厄の除災を祈ったことに始まるとされています。この貞観年間は疫病だけでなく、二年に桂川と鴨川の氾濫、五年に越中・越後で地震、六年に富士山の噴火、十年に播磨(山崎断層)・山城地震、十一年に陸奥で地震が発生しています。また、この時に廣峯神社(姫路市)に祀られている牛頭天王を迎え入れたという説があります。
市内でも神社の中に八坂社や祇園社、牛頭天王社の祠ほこらがあります。
これらの神社では、毎年7月中に祭りが行われています。
【茅の輪くぐり】(夏越の祓)
「茅の輪くぐり」は、スサノオノミコトの伝承に基づくもので、無病息災を願う伝統的な儀式として、国内の数多くの神社で行われています。茅の輪は、人がくぐるために茅草(かやくさ)で作られた大きな輪で、左から8の字に3回くぐると、不浄なものを寄せ付けず、病気から守られるといわれています。市内では、7月中下旬に住吉神社(北条町)や日吉神社(池上町)、石部神社(上野町)、八王子神社(田谷町・油谷町)、西在田地区4社などで行われます。過酷な夏を乗り切るため、力強い神様であるスサノオノミコトの力にあやかろうとする祭りです。
【石部神社の川下祭】
石部神社の夏祭りである川下祭は、「かわすそまつり」と読み、昔から「かわっさん」と呼ばれて、皆に親しまれてきました。
神社の前を流れる溝横の手ちょうず水舎内に、川下社(かわすそしゃ)(祭壇)を臨時で設けます。水の流れで体を清め、水への感謝をしつつ、蒸し暑い夏を
無病息災で過ごすための祈願をする禊みそぎの祭りです。
今は、溝に身体を清める水は流れていませんので、人形にツミ・ケガレを移し心身を清め、茅の輪をくぐり無病息災、平穏無事な生活を祈る祭りとなっています。
[今年の夏祭りの予定]
◎八王子神社 7月14日(日)
◎石部神社 7月14日(日)
◎住吉神社 7月15日(月・祝)
◎日吉神社 7月20日(土)
※詳細は各神社にお問い合わせください。