■秋祭り特集
市内ではさまざまな秋祭りが行われており、その内容や形式は地域ごとで特色があります。秋祭りは、その年に収穫したものを供物とすることにより、神への感謝を表しています。今月号から、加西市の伝統的な秋祭りの一部をご紹介していきます。
▽日吉神社秋祭
日吉神社(池上町)の秋祭りには宵宮と本宮があり、宵宮は宮司による神事と椎柴(しいしば)の御供(ごく)神事の準備、本宮は七社の神輿渡御(みこしとぎょ)・七社立会(ななしゃたちあい)神事や御供神事が行われます。神輿の宮入りは隔年で行われています。
[神輿渡御・七社立会の神事]
六所(ろくしょ)神社(河内町)と、新宮神社(山田町)、大年神社(野上町)、有間神社(甲・乙和泉町)、磯辺神社(中富町)、大歳神社(別府町・都染町)の六基の神輿が日吉神社に渡御し、祭典を祝う神事です。
まず、六所神社神輿は普光寺仁王門に赴き、龍王舞(りゅうおうのまい)が行われた後、和泉町四辻で、大年神社、新宮神社、有間神社の神輿と合流し、御旅所(池上町)に着きます。また、磯辺神社と大歳神社は、直接御旅所に行き四神輿を待って合流します。それぞれの合流地点で、龍王舞が行われます。
六基の神輿は、御旅所に入ると龍王舞、椎柴の御供神事が行われた後、日吉神社へ向かい「宮入り」をして、拝殿に並びます。そして、椎柴の御供神事が行われます。
神輿に椎の枝葉で御供を供える稚児(ちご)は、一生安産・元気に暮らせると伝えられています。
同神社の建物群は、七社立会神事の特異性が反映されたものとして、市指定文化財になっています。
◯今年の日吉神社秋祭
10月12日(土)浦安舞、太鼓の競演奉納など
10月13日(日)本宮
▽八王子神社秋祭り
八王子神社(田谷町・油谷町)の秋祭りは、神輿渡御と酌神事(しゃくしんじ)が行われ、五穀豊穣を喜びます。
酌神事は、同神社と御旅所で行われます。神輿は、かつて、二基(同神社と妙見社(みょうけんしゃ))渡御していましたが、今は、子ども御輿(みこし)が代わって渡御します。また、氏子の各町が輪番で祭礼当番をします。
[酌神事(三三九度の杯式)]
酌神事とは、同神社の祭神(男の神)と、妙見社の祭神(女の神)との婚礼を取り持つ儀式です。
物を生み出す秋の実りに感謝して、同神社と御旅所とで三三九度の杯を交わします。
◯今年の八王子神社秋祭り
10月13日(日)本宮
子ども御輿、酌神事など
※「加西市史」第六巻「民俗」より