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地域の魅力再発見 加西のお祭り ヨーイヤサー(8)

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兵庫県加西市

■先祖の供養「仏迎え・仏送り」、羅漢寺「千灯会(せんとうえ)」

8月の伝統行事といえば「お盆」です。先祖の霊を家に迎えてまつり、送り出す行事であり、家族が集まる特別な時期です。8月13日~16日を中心に行われ、さまざまな供え物をして先祖の冥福をお祈りします。今月の特集では、8月の「お盆」にちなんだ年中行事である「仏迎え・仏送り」と、毎年8月8日に羅漢寺(北条町北条)で行われている「千灯会」をご紹介します。

【仏迎え・仏送り】
市内の多くの地域では8月7日(七日盆)までに墓を掃除し、霊を迎える準備をしています。盆入りの13日や地域によっては14日に、お墓参りをして先祖の霊を自宅にお連れし、お盆の3日目の夕方、または4日目の朝にお送りします。
お盆のお供え物の中に、ナスやキュウリで作った馬や牛があります。これらは霊の乗り物で、馬はできるだけ早く家に来てもらえるように、牛は名残惜しいので、できるだけゆっくりお帰りいただくように思いが込められているそうです。
ある地域では、送りに行った帰り道で、仏さんが帰りにくくなるから振り返ってはいけないと伝えられています。
近年は仏を送る場所も村の墓地に変わりつつありますが、かつては川や池、村境のような集落生活空間の境界(彼岸との境界)まで送られていました。
「水に流す」という言葉があるように、古来より水場はこの世とあの世の境界とみなされ、霊も水場から流されていました。
また、霊を導く手段として使われたのが「火」でした。大きなものでは京都の「五山の送り火」などがありますが、線香の火と煙、精霊流しの灯籠(とうろう)、盆踊りの提灯(ちょうちん)、打ち上げ花火なども、霊を慰め送るための火として使われていました。

【千灯会(毎年8月8日開催)】
▽北条の五百羅漢
釈迦(しゃか)に追従した五百人の聖者を称して五百羅漢といわれており、大分県の耶馬渓(やばけい)、山梨県の吉沢(きっさわ)の羅漢とともに、北条の五百羅漢の名で全国的に知られた石仏で、兵庫県指定史跡になっています。
また、古くから「親が見たけりゃ北条の西の五百羅漢の堂に御座れ」とうたわれ、顔の異なる石仏の中に、必ず親や子に似た顔があるといわれています。素朴で表情豊かな野の仏として、多くの人々に親しまれています。

▽千灯会
本尊(ほんぞん)・薬師如来(やくしにょらい)の縁日でもある毎年8月8日に、羅漢寺で千灯会が行われています。羅漢寺にある約5百体の石仏(北条の五百羅漢)の前には、ここを訪れる人々により、約1千本ものろうそくに火が灯されます。炎が揺れ動くことで、石仏のさまざまな表情を楽しむことができます。
また、その優しい炎は、幽玄の世界を醸し出しています。

※出典:「加西市史」第六巻「民俗」より

[今年の千灯会]
8月8日(木)18時30分~
拝観料:無料 ※雨天中止

       

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