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地域の魅力再発見 加西のお祭り ヨーイヤサー(5)

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兵庫県加西市

今月は、5月にちなむ加西のお祭りとして、「端午の節句」と「卯月八日(うづきようか)」についてご紹介します。

■端午の節句
陰暦の5月初めは「仲夏(ちゅうか)」と呼ばれ、季節としては夏に当たります。昨今では、5月に夏日どころか真夏日を記録するなど、急な暑さにより体調を崩しやすい気候といえます。かつては、こうした体の不調は邪気が原因とされていました。市域でも、端午の節句にチマキを食べたり、菖蒲(しょうぶ)のお風呂に浸かることは、「こどもの日」で子どもの成長を願うだけでなく、邪気を祓う効果があると考えられていました。
『枕草子』にも、「節句は、5月に勝る月はない。菖蒲や蓬よもぎなどの香りが、混ざり匂い合うことは、大変趣深い。」と記述されています。これは、こういった風習が平安時代から存在していたことを示しています。

■卯月八日(うづきようか)
加西市の主な年中行事では、神様や神社、仏教や寺、そして先祖への供養のいずれかに属するか、混じり合ったかたちで行われています。
5月8日は、「卯月八日」と言って、この3種の行事が同日に行われていたという珍しい日で、「花まつり(灌仏会(かんぶつえ))」、「天道花(てんどうばな)」、「花はじめ」があります。

【花まつり(灌仏会)】
5月8日は、ブッダ(釈迦(しゃか))の誕生日にあたり、この日のために設けられた花御堂(はなみどう お花で飾られた祭壇)に、誕生仏(ブッダの生まれた姿の像)を置き、甘茶をかけてお祝いします。この行事は、市内の複数の寺で行われています。その一例として、宗寿寺(玉野町)では、白竜こども園の園児らが花御堂に献茶したり甘茶を飲むなどして、花まつりが行われています。

【天道花】
先端にツツジやシャクナゲ、クチナシなどを差した竿竹を、庭に立てていました。これは、農作物がうまく育つことや稲の苗がしっかりと根付くことを祈願し、山から田の神を降ろしてくる行事です。

【花はじめ】
新仏(しんぼとけ)のある家は、塔婆(とうば)を旦那寺や山の上にあるお寺に持っていき、供養してもらいます。新仏は一般的に、四十九日、花はじめ、初盆の供養を経ないと、お仏壇に入れず精霊棚(しょうりょうだな)で供養されます。この三つの仏事を経て、仏壇に位牌(いはい)を置くことができるとされています。その後、法事などの年忌供養を経て穏やかな霊となり、地域の先祖霊の集合体である祖おやがみ神と一体になると考えられています。法華山一乗寺(坂本町)では、供養の後、塔婆を水が張られた桶に浮かべて、亡き人への思いをはせています。

5月8日頃は、籾種(もみだね 稲の種)を植える本格的な農耕開始の時期で、その時に祖先が還ってきて稲作がはじまり、田の神として豊作と家内安全を祈願する農耕儀礼がありました。そこに、外来信仰の仏教が伝来してブッダの誕生日5月8日が祭礼日となり、先祖供養の手法に仏教が採り入れられたこ
とで、「花はじめ」が誕生したとされています。
「卯月八日」も三つの行事が混じり合い、市内各地で「花まつり」「花の日」など、「花」が付いた名前で祭事も様々な形で執り行われています。

       

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