■Story3 自社の技術を生かしてご機嫌になれる新規事業を開拓
小田岳人さん 小田鉄工株式会社代表取締役(2023年出場)(地元企業スタートアップ賞)
鉄工の技術を生かし、新規事業「俺だけのご機嫌トレーラーハウス」を展開
小田鉄工(株)は、橋梁架設資材の製作やビルや倉庫などの建築鉄骨の躯体部の製作を行っている会社です。この業界は、受注に波があることから、もう一つの柱となる一般向けの新規事業を模索していたころ、新型コロナウイルス感染症が流行。自分だけの部屋や、キッチンカーなどの需要がありそうだと考え、本業で培ってきた技術やノウハウを生かして製作できるトレーラーハウスに目をつけます。製作するのは、一般の方が利用できるよう、普通免許でけん引できるサイズのもの。移動がしやすく、建築確認がいらないので、イベントなどで、その会場に留め置くことができます。運よく、グランプリや他にも事業をプレゼンする機会に恵まれ、試作品を完成することができました。車検が通れば公道を走れるようになります。現在は、本格的な販売に向けて展示会でPRをしたり、トレーラーハウスの利用方法などを研究しています。販売が開始すれば、完全受注生産で、購入者の希望を叶える空間を作っていきます。その時には、自社では足りない内装などの技術は地元企業の技術を結集させて仕上げていく予定です。
また、トレーラーハウスのレンタルも考えています。厨房設備のあるものなら、起業を目指している人が、お店の運営を試せる場所として、イベントに合わせてレンタルしてもらえます。使い方次第で無限の可能性があるトレーラーハウス。事業はこれからが本番です。
■Story4「お米をもっと食べてもらいたい」専業主婦がかしわめし販売に挑戦
蓬莱眞子さん 郷土料理かしわん(2023年出場)(スタートアップ賞)
大阪府出身。家族の作るかしわめしの味を引き継ぎ、主婦から、特産品化を目指して起業。イベントなどで販売中。
大阪府出身で、液晶画面などの成分分析の仕事経験を持つ蓬莱さんは実験が得意です。料理も実験感覚で、専業主婦として、調理科学の本を読むなどして、家族の健康のために料理の研究していたところ、米飯食は体にもいい事を知ります。一方、食の多様化でお米の消費量は減少。それに伴い農家のお米の生産量も少なくなっています。このままでは自宅から見えるきれいな田園風景がなくなってしまうかも知れないと感じ、加工によって付加価値をつければもっと食べてもらえるのではないかと考えるようになりました。
そこで蓬莱さんが目をつけたのは、「かしわめし」。町の行事で昔からふるまわれ、義母が作るかしわめしは町内でも人気。食育で子どもが学校から持ち帰った郷土料理のレシピ本にも紹介され、歴史ある料理だと知ります。
この味を引き継ぎたいと思い、加西の味に近づけるよう試作を、お年寄りや、学生に食べてもらい、試行錯誤を繰り返すうちに、家族や周囲から推されて、グランプリの説明会に参加。「歴史があって、自分のためにでき、愛のあるものが売れる」と聞き、やる気に火が付きます。グランプリでは、面白く、子どもでも分かるようにを心がけ発表し、スタートアップ賞を受賞。
受賞をきっかけに、加西市観光研究会に誘われ、今では、かしわめしを特産品にすべく、イベントで販売しています。
次は、より多くの人に届けるため、かしわめしの素の販売や米粉パンやケーキなども作れたらと計画中。蓬莱さんの研究は続きます。